歯列の長持ちに大切なアンテリアガイダンスの重要性
歯や歯並びを今の状態に維持し続けるためには、虫歯・歯周病の予防だけでは不十分です。なぜなら、私たちの歯は毎日、とても強い咬合圧(こうごうあつ)がかかる器官だからです。そこで重要となるのが「アンテリアガイダンス」という考え方です。
▼アンテリアガイダンスってなに?
アンテリアガイダンスとは、Anterior(前歯部)がguidance(誘導)するという意味で、顎を前方や左右に移動する際、6本の前歯がガイドの役割を果たすべきであるという考え方を表した専門用語です。少し難しい話になりますが、わかりやすく解説します。
▼前歯と奥歯の役割の違い
前歯は切歯(せっし)とも呼ばれるように、食べ物を噛み切るのが主な役割です。また、横から加わる力に対しても強い耐性があり、顎の移動の際にはガイドとしての機能をしっかり果たすことが
できます。
一方、奥歯は食べ物をつりつぶすことが主な役割で、垂直的にかかる力には強いのですが、横からの圧力にはとても弱くなっています。ですから、前歯のように顎の移動のガイドを担うのは難しいです。
▼アンテリアガイダンスを失うと歯列の寿命が縮まる?
前歯のかみ合わせが深いケースでは、アンテリアガイダンスが正常に機能せず、奥歯に過剰な負担がかかることになります。その結果、奥歯の摩耗や歯周組織の炎症が起こり、歯及び歯列の寿命の短縮へとつながります。
▼まとめ
今回はとても難しい話になりましたが、前歯の歯並び・かみ合わせが果たす役割について改めて知っていただけたら幸いです。矯正治療では、アンテリアガイダンスという概念も踏まえて、歯の移動を行っているのです。
2021年12月1日 (水)
カテゴリー : 小児矯正 , 成人矯正